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chapter55 【新エネ百選】・・・福岡県での3プロジェクト

知ってた?福岡・九州

第55回

chapter55 【新エネ百選】・・・福岡県での3プロジェクト

もともと日本はエネルギー資源に乏しい国でした。そこへ今年3月11日に起きた東北の大震災と津波は、福島原発に甚大な損壊を引き起こし、そして日本のエネルギー事情とエネルギーに対する意識に多大な影響を与えました。

 

もはや現代生活に切り離す事の出来ない「電気」。そのエネルギー資源を、安定的に、そして安全に作り出していくことが早急に求められるようになったからです。

 

そのための切り札として考えられているのが、太陽や風力・地熱・バイオマスなどの再生可能な自然エネルギーの活 用です。そこで地域における新エネルギーの導入を促すため、全国の優れた事例を選定し、広く紹介する「新エネ百選」というプロジェクトを2008年にス タートさせました。

 

今回『知ってた?福岡』は、

 

~  「【新エネ百選】…福岡県での3プロジェクト」  ~

 

と題して、【新エネ百選】のうち、福岡県で認定された3つのプロジェクトをご紹介します。福岡県にはどんな新エネルギー活用のプロジェクトが進められているのでしょう?!


福岡水素タウン(福岡水素エネルギー戦略会議など企業・自治体)

福岡水素タウンは、燃料電池(水素エネルギー)分野では日本全国で唯一選定された事業でした。

 

燃料電池とは、燃料となる水素と酸素を供給して電気を作りつづける発電装置のこと。水に電気を流すと水素 と酸素を発生する水の電気分解と逆の原理で発電を行ないます。家庭用燃料電池は、LPGガス、石油、都市ガス等の燃料から「水素ガス」を作り、空気中の酸 素と化学反応させて発電します。同時に発電時に発生する熱を利用して、お風呂や給湯に利用することもできるというものです。

 

福岡水素タウンは、福岡県と福岡水素エネルギー戦略会議、西部ガスエネルギー、新日本石油 (ENEOS)、前原市(現糸島市)が共同で、LPガスを燃料とする家庭用燃料電池を約150台ほど集中的に設置しました。対象地域は、前原市(現糸島 市)の南風台団地・美咲が丘団地。

 

実績を見てみると、平成22年4月から9月の間において、福岡水素タウン150世帯平均のCO2削減量は 32.9kg/月 /世帯でした。年間に換算すると福岡水素タウン全体でCO2を59t/年あまりを削減することができたそうです。これは、杉の木の年間CO2吸収量 14kg/年で換算すると、およそ4,200本分に相当します。

 

福岡水素タウンは国内外から年間200件以上の視察・取材があるなど、大きな注目を集めています。今後は、家庭用燃料電池の更なる性能向上のための実証データ収集を引き続き行うとともに、福岡水素タウンの取り組みを通じて、家庭用燃料電池の普及を支援していきます。

  • 左が燃料電池ユニット、右側が貯湯ユニット。燃料電池ユニットで発電し、その排熱をお風呂や給湯に利用する
  • 福岡水素タウンの対象地域。糸島市南風台・美咲が丘。福岡水素タウンとして約150台のLPガス燃料の家庭用燃料電池を設置した 

バイオマスで持続可能なまちづくり (福岡県大木町)

福岡県大木町は筑後平野に位置する農業を主体とする町で、福岡県の中でも環境問題に早くから取り組んできました。特に行政・住民・産業が一体となってバイオマスを利用したバイオマスタウン構想を掲げ、循環型のまちづくりを行っています。

 

バイオマスとは生物資源(bio)の量(mass)を表す概念。一般的には化石資源を除いた再生可能な、生物 由来の有機性資源を指します。バイオマスタウンとは、バイオマスを効率的かつ安定的に発生から利用まで総合的に取り組んでいる地域のこと。大木町は 2005年にバイオタウンとして認定されました。

 

このバイオマスタウン構想で大木町は、生ゴミ・し尿・浄化槽汚泥を廃棄物として処理するのではなく、資源としてエネルギーと有機肥料生産に利用する循環型の取り組みを行いました。

 

一般家庭や事業所などで出る生ゴミは分別と水切りを徹底して回収し、前処理したし尿・浄化槽汚泥などとプラントにて発酵させます。これによってメタンガスと消化液が生産され、メタンガスはプラントの発電・発熱に利用し、消化液は有機肥料として農業に活用するのです。

 

もともと大木町はゴミ処理を近隣自治体に委託しており、その処理コストが年々増えて町財政を圧迫していましたが、この取り組みを初めて以来ゴミ処理量が減量化し、町の経費負担も軽減化しているそうです。

 

その他にも廃油や休耕田に植える菜の花からバイオディーゼル燃料(バイオ軽油)を作ったり、2005年度までに小学校など5ヵ所に合計50kWの太陽光発電設備を導入したりするなど、バイオマスタウン構想に基づいて循環型の町作りを現在も進めています。

  • 大木町のバイオマスプラント。生ゴミやし尿・浄化槽汚泥を資源として、発酵させてメタンガスと消化液を生産する。
  • 大木町は太陽光発電にも力を入れており、小学校など5か所に設備を導入したり、住民の太陽光発電導入の支援も行っている 

エコキャンパス・北九州学術研究都市 新エネルギー導入及び普及促進の取組 (北九州産業学術推進機構)

北九州学術研究都市は北九州市八幡西区と若松区にまたがって位置する、産官学一体の先端科学技術に関する教育・研究機関が集結しています。

 

ここでは、キャンパス運営や教育研究活動に必要なエネルギーや水を、環境に配慮しつつ効率的に供給するために様々な工夫をしています。

  • 自然光・風の活用
    北九州市立大学国際環境工学部の校舎には、太陽熱による自然換気や地中熱による予冷・予暖を活かした自然通風の仕組みが取り入れられています。また1階から4階まで吹き抜けた数ヶ所の光庭から自然光を取り入れ、自然の光と風を最大限に利用する計画としています。

  • 学術研究都市キャンパス内の排水や雨水は、共同溝を経由して環境エネルギーセンターに集められます。同センターで生物による処理、ろ過処理を施し、各建物 の便所洗浄水や、散水、冷却塔の補給水などとして再利用されます。処理水の余剰分は、ビオトープ池を経由して自然型の水路に放流されて更に浄化された後、 土壌に浸透します。
  • エネルギー
    環境エネルギーセンターに燃料電池やガスエンジン発電装置を、北九州市立大学屋上の太陽光発電を設置しています。環境にやさしいエネルギーシステムを複数 採用し、電力と熱を供給するとともに、エネルギー消費量と二酸化炭素の排出量の低減を図っています。

 

このように北九州学術研究都市では、環境問題・新エネルギーなどの教育研究をするだけでなく、その研究をエコロジカルなキャンパス整備を通して実践しています。


北九州学術研究都市の全景。エコロジカルなキャンパス整備が各所で行われている
  • 北九州市立大学国際環境工学部の屋上に設置された太陽光発電パネルと、煙突状の太陽熱による自然換気システム
  • ガスエンジン燃料電池システム(上)と太陽光電池システム(下)の発電装置

福岡県では上記3つのプロジェクトが新エネ百選として採択されました。プロジェクトが3つ以上採択された都道府県は9つしかなく、そういう意味で福岡県は新エネルギーに対する関心や技術が高いといえるでしょう。

 

また、新エネ百選には採択されなかったけれど、新エネルギーに対する研究や開発を行ってる企業や教育機関、自治体などは他にも多くあります。一般個人も普段のエネルギーの使い方、供給方法などについて関心を高めたいものです。

〔更新日:2013年07月01日〕

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