マンション購入時には印紙代や事務手数料関連、税金類が必要となるほか、住み始めてからも管理費など毎月支払わなければならないもの、固定資産税のように年に1回支払いがあるものなど、ローン以外の出費が必要になります。
何がどれだけ必要かをきちんと整理して、ある程度余裕のある支払い計画をしっかり立てておきましょう。
4.売買契約・資金計画
売買契約・資金計画について
色んな情報を集め、自分なりの条件や価格帯で物件を絞り込み、いよいよ売買契約へ。誰だって、ちょっと緊張や戸惑いを感じることでしょう。 でも、契約前に「重要事項説明書」に関する確認を取り合う時間は、契約に関して解らないこと、不安に感じていることなどを徹底的に質問する格好のチャンス。 これを機に、ちょっとした不安も疑問点も、全部解消してしまいましょう。
資金計画
契約時にかかる費用
契約印紙代 | 売主・買主双方の負担で、売買契約書への貼付が義務づけられています。印紙代は物件の契約金額によって変わります。 |
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住宅ローン等にかかる費用(契約後〜引渡しまでに必要)
金消契約印紙代 | 住宅ロ-ンの金銭消費貸借契約書への貼付が義務づけられています。印紙代は借入金額によって変わります。 |
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ロ-ン保証料 | 住宅ローンの借入をする際、保証会社への保証料が必要です。借入金額や返済年数、金融機関によって金額は異なります。 |
団体信用生命保険料 | 住宅ロ-ンを借りた人が亡くなった場合等に備えて、残債の負担をなくす為の保険です。フラット35は任意ですが、民間ロ-ンは融資必須条件になります。フラット35(住宅金融支援機構)は毎年保険料の支払いがありますが、ローンの残高に応じて年々保険料は安くなっていきます。なお、民間ローンの場合、保険料は取扱金融資機関が負担します。 |
事務手数料 | 金融機関・不動産会社へ住宅ロ-ンの借入申込み手続き等の手数料として支払います。金融機関・不動産会社によって、金額は異なります。 |
土地・建物登記費用 | マンションの構造・種類・面積等を表す表示登記、所有者を表す所有権保存登記の費用です。費用の内訳は、登録免許税と土地家屋調査士・司法書士の登記報酬です。 |
抵当権設定登記費用 | 住宅ロ-ンを利用した場合、マンションを担保にして抵当権の設定をします。費用の内訳は、登録免許税と司法書士の登記報酬です |
火災保険料・地震保険料 | マンションを購入した場合の、建物部分に対する損害保険です。返済年数、保険会社によって保険料は異なります。火災保険の場合は、返済年数を保険期間として1回払いのみですが、地震保険は一般的には1〜5年毎の更新となります。 |
入居後にかかる費用
不動産取得税 | マイホ-ムを取得した場合、納税通知書により1度だけ納付する税金。特例適用新築住宅を取得した場合、課税評価額から1,200万円の控除があります。マンションの場合、1,200万円控除して税額が0であれば、納税通知書は届きません。 |
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固定資産 | マイホ-ムの取得後、1月1日の所有者に納税通知書により毎年納付する税金。新築マンションの場合、5年間の税額軽減措置があります。 |
都市計画税 | 取得したマイホ-ムが都市計画法の規定により指定された都市計画区域内にある場合、固定資産税と併せて納付する税金。1戸につき200平米までの敷地部分については、小規模住宅用地として税額の軽減措置あり。 |
購入申し込み
購入するマンションが決まり、資金計画のプランが完成したら、購入する意思表示として購入申し込みを行います。
購入申し込みに必要なもの
- 印鑑(実印でなくてもOK)
- 申し込み証拠金
※契約が成立しなかった場合には、遅滞なく無利息にて返還されます。
なお、申し込み証拠金を支払うと預かり書が発行され、その中には
- 申込年月日
- 物件の所在地・種類・物件名・部屋番号
- 売買価格及び申込金入金額
- 契約予定日時と契約締結場所
…などが記入されていますので、部屋番号等の間違いがないか、最終確認しておきましょう。
重要事項説明
重要事項説明書は購入申し込みの段階で入手可能
契約前に、宅地建物取引主任者による説明が行われる「重要事項説明書」。
これには、今から契約しようという物件の権利関係や法令に基づく制限、代金の授受、契約解除と手付け金に関する規定など、大切な事柄がビッシリと書き込まれています。内容が多すぎて、1回聞いただけで全てを理解できる方というのは、実際にはあまりいません。
重要事項説明書に書かれている、マンション売買に関する事細かな法令や規定は、購入者であるあなたに全て理解していただいてナンボ…という性質のもの。つまりマンションを売る側には、「買い主に理解していただく義務と責任」があるのです。
だから、「今さらこんなことを尋ねるのもヘンかな」「何度も質問しては面倒くさがられるかも」なんて遠慮する必要は、全くありません。せっかくですから、この機会に“マンション購入情報通”になるつもりで、意味が解らない法律用語や気になる規定などについて、徹底的に尋ねてみましょう。
説明終了後、納得がいけば書類に署名と押印をします。
重要事項説明のチェックポイント
受される金銭額とその目的 | 手付金(頭金)、諸経費の支払金額とその目的 |
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契約解除に関する事項 | 契約解除の規定は明確にされているか |
損害賠償・違約金に関する事項 | 損害賠償額の予定と違約金の合計額は売買代金の2割以内か |
支払金・預かり金の保全措置事項 | 保全措置の有無・方法・保全措置を行う機関名などが 説明されているか |
ロ-ンの斡旋・不成立時の事項 | 住宅ロ-ンが予定通り借りれない場合の措置について 明記されているか |
売買契約
最終確認が重要!
重要事項説明が終われば、いよいよ契約を結ぶことになります。 重要な内容は説明済みですが、万が一契約解除になったら、手付金や規約金、損害賠償の問題も発生しますので、最後までしっかり確認しましょう。
売買契約のチェックポイント
売買物件の表示の事項 | 売買する物件を特定する意味がある、重要事項説明の表題と同じか確認 |
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売買価格に関する事項 | 消費税がかかる際、その額を明記してあるか |
手付金に関する事項 | 手付金額と手付金解除に関する事がきちんと書かれているか |
代金支払方法・時期にする事項 | 購入物件の代金の支払い回数や金額および時期の確認 |
所有権の移転、登記の時期の事項 | 購入物件の所有権移転や物件引渡しの時期の取決めがあるか |
設備・備品などの取決め事項 | 付帯設備の取決めがなされているかの確認 |
契約違反による解除取決め事項 | 売主と買主のどちらかが契約上の義務をはたさなかった場合は、その契約を解除できるという取決めを確認 |
宅地建物取引主任者の記名・押印事項 | 宅地建物取引主任者の記名・押印を必ず確認する |
上記の事項等を確認して、間違いがなければ、契約書に署名・捺印して手付金を支払い、契約完了です。
住宅ローンについて
マンションを購入する際、大半の方が公的あるいは民間の住宅ローンを活用されると思います。ひとことに「住宅ローン」と言っても、その種類は様々で、最近は銀行や信用金庫なども積極的に住宅ローンの新商品を売り出していますから、あなたの収入状況や年齢、ローンを組む時点とマンションが完成する時期の公定歩合予測などに応じて、より有利で現実的なローンを選択しましょう。
住宅ローンの種類
借入先 | 特徴 | 金利、借入額に 影響するもの | |
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公的 融資 |
財形住宅融資 |
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フラット35 |
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民間金融機関 | 銀行・ろうきん・ノンバンク |
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※ 詳細は各金融機関にお問い合わせください。
住宅ローンの返済方法
一般的な返済方法は、元金と利息の合計額が一定である元利均等方式です。返済総額を比べると、元金均等返済の方がお得です。
返済方法 | 特長 | 2,000万円35年ローンを3.00%(全期間)で借りた場合 | |
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初回返済額 | 返済総額 | ||
元利均等返済 | 元金と利息を合わせた毎月の返済額が一定。返済金額に占める元金と利息の割合が変わっていく。 | 76,970円 | 32,327,416円 |
元金均等返済 | 元金返済回数で元金部分は均等に返済。かつ毎回減っていく元金で利息計算が行われ、元金に利息が上乗せされた金額を返済する。返済額は初回が大きく、以後減っていく。 | 97,619円 | 30,525,000円 |
住宅ローン金利の種類
住宅ローン金利の 種類 |
解説 |
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固定金利型 | 返済期間終了まで金利が変わりません。金利水準が低い時期に借り入れすると、低金利のままで有利です。 |
変動金利型 | 借り入れ後、金融情勢によって金利が変動します。適用金利は、年2回見直しが一般的で、金利上昇の際に返済額が高くなるリスクがあります。 |
固定金利選択型 | 都市銀行等の住宅ローンで利用されている種類です。一定の期間は固定金利で、期間終了後は再度その時点で固定金利選択型か変動金利型を選択することになります。 |
住宅ローン金利の種類金利のタイプと返済期間とは特に慎重に検討したいポイントです。金利の安い時期に固定金利タイプのローンを組み、できるだけ短期間で返済を終了させてしまうのが、最も将来的なリスクの低い借り方と言えます。ただし、民間金融機関の固定型はローン実行時期(入居時期)の金利が固定されますので、契約から物件完成まで1年くらい期間のあるマンションの場合、注意が必要です。
また、使用したローンが「元利均等方式」か「元金均等返済」かによっても、支払いの総額にはかなりの差がありますから、複数のローンを一通りシミュレーションしてみる価値はあるでしょう。
ローンシミュレーション
繰り上げ返済条件変更のやり方
繰上げ返済でロ-ンを一気に減らしておけば、不測の事態があっても安心です。 ただし、無理に繰上げ返済をして貯蓄を減らしてしまっては、かえって不安になるので、わが家の『貯め時』に合わせて、計画的に実行しましょう。
こんな人にオススメ | 解説 | |
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余裕のあるうちに期間短縮型で、3年後に100万円! | 子供が幼稚園に上がる前で、それほどお金がかからない。 子供が大きくなると、塾や習い事など何かとお金がかかるので、そうなる前に1回は繰上げ返済しておきたい。 |
毎月1万円、ボ-ナス時に10万円貯めていけば、3年後に100万円の繰上げ返済ができるはずです。 |
共働き中に期間短縮型と返済額軽減型でガンガン返す! | 購入後もしばらくは共働きを続けるが、出産を機に妻は仕事を辞める予定。 | 共働きの間に毎年100万円を目標に、利息軽減効果の高い期間短縮型でどんどん実行しましょう。 妻が仕事を辞める直前に、返済額軽減型で返済額を安くすれば、夫だけの収入でも返済が楽になります。 |
教育費を優先、返済額軽減型で10年後に100万円! | 子供が小学校高学年で、進学に向けて教育費の貯蓄を優先したい。 | そろそろ教育費が心配という人は、当分の間教育費を優先しましょう。その一方で、1年に10万円を目標にして、10年後に、100万円繰上げ返済しましょう。 返済額軽減型で行えば、教育費のピ-クにロ-ンの負担が軽くなります。 |
繰り上げ返済にかかる手数料及び注意点
借入先 | 手数料 | 注意点 |
---|---|---|
フラット35 | 無料 | 100万円以上から繰上げ返済可。返済予定日の1ヶ月前までに取扱金融期間への連絡が必要。 |
民間金融期間 ※金融機関によって異なりますので右は一例です。 |
固定金利適用期間中の場合 一部繰上げ返済 30,000円 全額繰上げ返済 40,000円 その他の場合 一部繰上げ返済 5,000円 全額繰上げ返済 20,000円 インターネットバンキングからの手続きの場合 上記に関わらず手数料無料 |
多くの金融機関が100万円以上から繰上げ返済を受付けているが、1万円から受付ける金融機関もある。 返済予定日の1ヶ月前までに取扱金融期間への連絡が必要。 |
税金について
税金=法律というイメージで苦手意識が出てくるかもしれませんが、マンション購入時には避けては通れない支払いです。住宅ローン減税という、ちょっと気になる制度もありますので、まとめて見ていきましょう。
マンション取得に関する税金
印紙税 | ローン契約書・売買契約書など各種契約書に交わす時にかかってくる税金です。借入金や記載された内容によって決まり、印紙を購入し貼付し消印することによって納税します。 |
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不動産取得税 | 新しく不動産を取得(土地建物の購入・建築・増改築・贈与)した時にかかる税金です。登記後、2〜3ヶ月後の月初めに所轄の役所から納付書が送られ、月末が納付期限です。 |
固定資産税 | 毎年1月1日現在で各市町村の固定資産税課台帳に記載されている土地・建物にかかる税金です。マンション取得後毎年、所有者として登録されている人が払うことになります。 |
都市計画税 | 固定資産税と同じ条件で、かつ都市計画法で定められた市街化区域内にある場合にかかる税金です。 |
登録免許税 | 不動産を登記するときにかかります。それぞれのケースに応じ、不動産の固定資産評価額に税率をかけて計算します。マイホームの場合、軽減の特例があります。 |
消費税 | マンション販売価格のうち、建物価格の8%の消費税がかかります。(内税の場合もあります) ※平成26年4月現在 |
マンション購入時に使える税金の特例(その1)
所得税の軽減措置(住宅借入金等特別控除)
住宅ローンの年末残高に応じて特別控除ができる住宅ローン控除制度の限度額・控除率及び控除期間等は次のようになります。
居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 最大控除限度額 |
---|---|---|---|---|
平成26年1月〜平成26年3月 | 2,000万円 | 1.0% | 10年間 | 200万円 |
平成26年4月〜平成29年12月 | 4,000万円 | 1.0% | 10年間 | 400万円 |
下記の条件で、実際の所得控除額の例を示します。2,000万円借入をした場合の控除額です。
参考に、年間支払額も表に入れました。年末のローン残高に応じて控除額が決まります。
入居日 | 借入金 | 金利 | 返済方法 | 返済期間 | 年間支払額 | 所得税 |
---|---|---|---|---|---|---|
平成26年4月3日 | 20,000,000円 | 固定金利 3.00% | 元利均等返済 | 35年 | 923,652円 | 20万円 |
年末残高 | 控除率 | 控除限度額 | |
---|---|---|---|
1年目 | 19,699,588円 | 1% | 196,900円 |
2年目 | 19,362,317円 | 1% | 193,600円 |
3年目 | 19,014,788円 | 1% | 190,100円 |
4年目 | 18,656,689円 | 1% | 186,500円 |
5年目 | 18,287,695円 | 1% | 182,800円 |
6年目 | 17,907,482円 | 1% | 179,000円 |
7年目 | 17,515,703円 | 1% | 175,100円 |
8年目 | 17,112,009円 | 1% | 171,100円 |
9年目 | 16,696,037円 | 1% | 166,900円 |
10年目 | 16,231,111円 | 1% | 162,300円 |
10年間の控除額の合計 | 1,804,300円 |
※所得税額が控除限度額よりも低い場合は、所得税額が控除額となります。例えば所得税額が20万円の場合、1年目の控除額は196,900円ですが納税額が10万円だった場合、控除額は10万円が限度となります。
マンション購入時に使える税金の特例(その2)
夫婦円満がポイントの「共有名義」
共有名義とは
共有名義とは、マンションなど住宅の所有権を登記する際に、夫婦双方の名義を登記して「共有」という形をとることです。
登記簿には、所有権を持つ共有者全員の住所・氏名・持分割合が記載されます。
その持分割合は、頭金と住宅ローンなどを、実際に負担した割合どおりに按分するのが基本的な考えです 。
「夫婦共有名義」の主なメリット
- 共有名義のマンションを売却した際に譲渡所得が発生した場合(購入して住んでいたマンションを売った際に利益が出た場合)は、居住用財産の 3,000万円控除が 2人とも受けられますので、最高 6,000万円までの税金控除が受けられます。
- 共働きの夫婦の場合、住宅ローンの控除を 2人で受けられます。
- マンションを「共有名義」にしたことで、夫婦の財産を築き上げるという意識が出てくることも、メリットといえるでしょう。
「夫婦共有名義」で、こんなデメリットも…
離婚率が年々増加している現在、離婚して住宅ローンを払わなくなれば、住宅ローンの控除も受けられなくなります。
また、夫婦間で離婚の話がもちあがれば、当然共有名義にしているマンションはどうするのかが問題になります。
「共有名義」にしていることが、トラブルのひとつになることもあります。
夫婦でマンションを購入して、住宅ローンを組むと、当然夫もしくは妻のいずれかが債務者となります。
さらに夫婦間で「共有名義」にするためには、例えば夫が債務者になった場合、妻は連帯保証人、もしくは連帯債務者のいずれかにならなければなりません。しかし、離婚をしたあとも妻が連帯保証人・連帯債務者になったままというケースは、少なくありません。
もし別れた夫がローンを払えなくなると、離婚の際の夫婦間の合意とは関係なく、連帯保証人・連帯債務者の元妻に請求がふりかかって来ることになります。
マンションを損が出ないように売却できればいいのですが、多額のローンが残るケースがあり、売却が最良の方法とはいえません。
このような場合、マンションの所有を希望する配偶者が、代わりの債務引受人・保証人を用意した上で、ローンの融資先に承諾を得なくてはなりません。
そして、連帯保証人・連帯債務者から外してもらうしかないのです。
しかし、代わりを用意するのは、簡単ではありません。
つまり、夫婦共有名義のメリット活用ができるのは、夫婦円満がポイント(条件)といえるようです 。