chapter41 福岡県の医療事情 その3・平均在院日数
前回から『知ってた?福岡』では、福岡県の医療事情を探っています。
第3回のテーマは「平均在院日数」。
平均在院日数って何のことかご存知ですか?これは、患者さんが平均何日間入院しているかを示す数字です。
この平均在院日数は都道府県ごとに比べると、最も短い地域は平均在院日数が26.4日なのですが、最も長い地域は平均在院日数がなんと53.8日だったんです!その差は実に約2倍!
では平均在院日数が最も長いところはどこでしょう?また最も短いところはどこでしょう?そして、福岡県の平均在院日数は多いほうでしょうか?それとも短いのでしょうか?
~ 福岡県の平均在院日数 ~
と題して、都道府県別の平均在院日数(平成19年)を紹介したいと思います。
福岡県の平均在院日数はどのくらいでしょう?
西日本の地方で平均在院日数が長い傾向。福岡県は第9位で42.3日。
患者の平均在院日数を都道府県別にみた結果では、最長は高知県で53.8日、次いで佐賀県51.2日、鹿児島県49.3日の順で続いています。一方最短は東京都26.4日、次いで神奈川県26.7日、長野県26.7日の順。全国の平均は34.1日でした。
福岡県の平均在院日数は42.3日で第9位。全国平均より平均在院日数が約8日間も長くなっています。
このランキングを見ると西日本の地方で平均在院日数が長い傾向が見て取れます。上位10位まででは、10位の北海道を除く9県が九州・四国・中国地方の地域です。それと対照的に関東圏と長野県は短くなっています。
前回の『知ってた?福岡』で「医療費」をテーマにしましたが、やはり西日本府県の医療費が高く、関東圏の都県の医療費が少なくなっていました。
参考:Chapter40 福岡県の医療事情 その2・医療費 (http://www.empire-mansion.com/fukuoka/40/index.php)
在院日数の短縮を狙う国とその効果を疑問視する医療関係者
この平均在院日数は医療費と相関があると言われています。つまり平均在院日数が長くなると、医療費も高くなるというわけです。
そのため厚生労働省は現在医療費抑制の施策の一つとして、平均在院日数の短縮化を進めています。一人当た りの平均在院日数が短くなれば、その分早く退院できるので医療費が少なくて済むからです。また早く空き病床ができるので、他の患者さんを受け入れることが でき、多くの患者さんが病院にかかることができるようになることもその理由の一つです。
その一方で、医療関係者からは在院日数の短縮の効果を疑問視する声が多く上がっています。
日本は欧米に比較して在院日数が長いために病床数を増やさざるを得ず、日本の入院医療の効率を悪くしているというのが、平均在院日数の短縮化の根拠となっています。
確かに数字だけを見ると、日本の平均在院日数は欧米諸国よりも長いのですが、その医療の中身は全く欧米諸国とは異なっています。
たとえば、手術を必要とする急病で入院した場合、一般的に日本では手術を経て傷が治癒し、体の機能が回復 するまで病院で入院します。これが欧米諸国では、手術は病院で行い、その後の治癒・回復までの間は病床数にはカウントされないナーシングホームという福祉 施設に移るそうです。
ということは日本では病院1ヶ所で欧米諸国の病院と福祉施設の2ヶ所の医療を行っているわけで、そのため患者の平均在院日数が長くなるのです。だから平均在院日数の数字だけで単純には比較できないというわけです。
もしこのまま単純に在院日数を短縮化されると、患者にとっても十分なケアを受ける時間を得られないまま退 院を迫られることにもなりかねないそうです。また医療従事者も短期間で患者を診なければならないため、労務が増大し現場は疲弊し、医療事故の発生にもつな がる恐れがあります。
患者としても早く退院したいと願うものですが、それはあくまでも早く元気になってから退院したいのであって、追い出されるように退院することは望んでいませんよね。
医療関係者も患者も、国も安心して医療行為を続けていくために協力することはもっとあるような気がします。まずは医療についての関心を持って行きたいと思います。
〔更新日:2012年05月01日〕