
秋月と言えば、春の桜と秋の紅葉の美しさで、福岡県の中でも一、二位に挙げられる観光名所です。最近は観光シーズンの人ごみを避けて、夏や冬にゆったりと穏やかな町の風情を楽しむツウな人も増えてきているそうです。
秋月はもともと城下町として栄えました。鎌倉時代の初めに秋月氏が将軍源頼家よりこの地を拝領して治めました。その後江戸時代になってから、黒田長興(ながおき)が秋月5万石の領主となり、秋月に城を築き城下町をつくりました。
秋月城の近隣一帯には身分の高い武士たちの大きな武家屋敷が建てられ、城下には商人や職人らの町家が立ち並び、学問や芸術、産業などが盛んになりました。
その後、明治時代になると廃藩置県のために秋月藩がなくなり、秋月は次第に人口も家屋も減って衰退しました。しかし、その反面不必要な開発が行われなかったため、城下町の街並みと雰囲気を保ち続けることができ、現在でも当時の城下町の風情がしのばれます。平成10年には国指定の重要伝統的建造物群保存地域に選定されました。

秋月の町はゆっくりと歩いて巡るのが楽しい町。秋月城を中心とした武家屋敷と、その城下町の風情を観て感じることができます。
秋月城はすでになく、今残るのは秋月のシンボルともなっている黒門や城の勝手口として利用された長屋門、城のお濠や城壁などです。黒門はもともと鎌倉時代の秋月氏が山に築いた城の門だったのですが、それが江戸時代に秋月城が築かれて、城の中央入り口の大手門として移築されました。そして、さらに明治時代になって現在の場所に移築されたそうです。
二度にわたって移築されながらも、秋月の町が成立した鎌倉時代から現在まで約800年に渡り、秋月を見守ってきた門なんですね。黒くて、どっしりとしたその門構えは、歴史の重みを感じさせます。
秋月城の前には、約500mまっすぐにのびた「杉の馬場」という道があります。
この道こそ、春の桜の花と秋の紅葉で有名な秋月の観光のメインストリートですが、かつて、江戸時代にはその名の通り、杉が並ぶ武士たちの馬術の訓練場でした。明治時代になって城下町の町民によって、桜並木に植え替えられたそうです。あの春と秋の景色を作ったのは秋月の庶民の方々だったんですね。
沿道には古い町屋風の露店や茶店、城のお濠や城壁があり、周囲を見ながら歩くと約500mもの距離を感じません。
また、通り沿いにある秋月郷土館と秋月美術館は郷土の文化や歴史を知るには最適。
秋月郷土館は、実は、世界を代表する名画や日本史の教科書にも載っている有名な屏風が、さりげな〜く展示されているお宝資料館。ルノワールや俵屋宗達などの絵や夏目漱石直筆の手紙などがあり、かなりお勧めです。

秋月の城下町を歩くと古くて懐かしい佇まいを感じます。昔ながらの町屋作りのお店や、白壁の蔵屋敷、レトロな雰囲気のあるたばこやさんや魚屋さん、クリーニング店…。一昔前までは当たり前のように見られたけれど、いまはもう失われてしまった町並みが、秋月にはまだ残っています。
そして、これらのお店や住まいは日常生活の場であることも大きなポイントだと思います。レトロ観光のためにわざわざ復活させた古い建物や、観光と保存のための資料館などではなく、秋月の町の建物やお店は全て町民の方が普通に生活を送る場として日常に生きているのです。だから秋月の町にはなんだか人の息遣いやぬくもりが感じられるんですよね。
町には、古い歴史を持つ店と新しいお店が違和感を感じさせることなく共存しています。スイーツのお店や喫茶店、天然染めのお店、普通の八百屋さん、駄菓子屋さんなどのお店が立ち並びます。
古い歴史を持つ店と言えば、やはり一番有名なのは「廣久葛本舗 十代高木久助」。秋月の名産として名高い葛を、葛の根100%での本葛で江戸時代から現代にいたるまで続けています。店内でも作りたての葛を食べられますよ。店は江戸時代に作られた建物で、当時起こった百姓一揆の傷跡も残っており、深い歴史を感じます。
秋月は賑やかなだけの観光スポットめぐりにちょっと飽きてきた、大人の心を満たす町ですね。
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