chapter39 福岡県の医療事情 その1・医師数
どんなに健康な人でも、1年に1度は医者の世話になるのではないでしょうか?そんな時、あなたはどこの病院へ行っていますか?
近所に病院がありますか?
最近では医師不足や病院の病床不足のため、救急患者の受け入れが困難になるなどの社会問題もよく耳にします。病院や医師の数は少ないのでしょうか?私たちが暮らす福岡県の医療事情はどうなっているのでしょうか?
そこで、今回から数回にわたって福岡県の医療事情について探ってみたいと思います。
今回のテーマは
~ 福岡県の医療事情 その1・医師数 ~
を紹介したいと思います。
福岡県って全国的に見てお医者さんが多いのでしょうか?少ないのでしょうか?
各都道府県でお医者さんの数に差があるものなのでしょうか?
都道府県別に見る医師数のランキングはいかに!?
福岡県の人口1千人あたりの医師数は全国第5位
人口1千人あたりの医師数の全国平均は2.18人でした。そして都道府県別の医師数をランキングしてみたところ、の第1位は京都府で2.92人でした。第2位は僅差で徳島県で2.92人、第3位は東京都で2.82人でした。
では福岡県は、というと人口1千人あたりの医師数は2.78人で全国第5位でした。医師そのものの数も 14,063人で、これは全国第4位にのぼる人数です。福岡県は地方でありながら、全国的に見ると人口あたりの医師数も、医師の実数そのものも多く、医師 の数としては恵まれているほうだと言えそうです。
福岡県にはなぜこんなに医師が多いのでしょう?
一つには福岡県には医師を養成する大学が4校もあることがあげられます。九州大学医学部、福岡大学医学部、久留米大学医学部、産業医科大学の4大学で医師を養成し、地域の医療向上に寄与していますが、医学部・医科を持つ大学を4つも有する地方は多くありません。
また、県内39の病院が臨床研修病院として指定され、また60を越える病院が協力臨床研修病院として研修に協力しており、多くの研修医を受け入れていることもあげられます。平成17年度末の時点では、研修医の数は県内4つの大学医学部の卒業生よりも多くなっています。
医師の研修については、平成16年度より大学卒業後2年間の臨床研修が必修となっています。研修医を受け入れ、臨床研修後も県内に医師の定着が進むことが期待されています。
全国的に医師は偏在化。福岡県内でも同様の傾向
福岡県は医師の数は多いほうなのですが問題点もあります。それは医師が多い地域と少ない地域あるいは医師がいない地域の二極化が顕著だということです。ただしこれは福岡県に限ったことではなく、日本では全国的に同じ傾向が見られるようです。
福岡県の医師の偏在化はかなりはっきりと見て取れます。下は平成17年の時点で福岡県内にある26市における人口1千人あたりの医師数をランキングしたものです。
(出典:福岡県平成17年医療統計 病院の従事者数(保健所・市区町村別) )
※データは平成17年度現在のものであり、その後の市町村合併により現在と自治体数や名称が異なるものがあります。
このランキングを見てみると、人口1千人あたりの医師数が福岡県内で最も多い市は久留米市で3.67人、 続いて第2位は飯塚市で3.47人、第3位は田川市で2.68人。逆に人口1千人あたりの医師数が最も少ない市は豊前市で0.53人、次いで太宰府市が 0.56人、うきは市が0.63人。
人口1千人あたりの医師数が最も多い久留米市と、もっと少ない豊前市とでは約3人もの差が生じていることが分かります。また、人口1千人あたりの医師数の平均は1.81人ですが、この平均値を上回っているのは上位11の市のみで、他の15の都市は平均値を下回っています。
人口1千人あたりの医師数が多い市は、大きく2つのタイプに分類されているようです。一つは福岡市や北九 州市、久留米市のように人口も多く大病院・個人の開業医ともに多く医師数が多い市。もう一つは八女市や山田市のように人口はそれほど多くないが大病院があ りそこを中心に医師が集まって、人口との比率で上位に上がっている市です。(※山田市は平成18年に近隣3町と合併して嘉麻市になりました)
その一方で、人口1千人あたりの医師数が少ない市は、12位の春日市以外は医師の総数自体が100人未満と少なくなっています。
医師の偏在や医師不足は福岡県のみならず、日本全体の問題となっています。どこに住んでいようが、だれもが等しく医療を受ける機会が得られるようにしてほしいものですね。
〔更新日:2012年03月01日〕